おつかれさまです!ゆうぞうです。今日のビズ技は、複数の選択肢の優先順位を付ける時に役立つフレームワーク「ハイ・ローマトリクス」を紹介します。「ペイオフマトリクス」と呼ばれることもあるこのツール、今日の自分のタスクの優先順位を付けることもできます。明日できる仕事は明日にしよう!w
目次
- 1.ハイ・ローマトリクスとは?
- 2.ハイ・ローマトリクスのメリット
- 2-1.共有化(見える化)
- 2-2.記録化
- 3.ハイ・ローマトリクスの使い方
- 3-1.使う場面
- 3-2.選択肢の2軸を表で評価
- 3-3.2軸の優先順位をつけておく
- 3-4.マトリクスに配置する
- 3-5.1つの象限に集中したらさらにマトリクス
- 4.ハイ・ローマトリクスの事例パターン
- 4-1.【重要度】×【緊急度】=アイゼンハワーマトリクス
- 4-2.【費用】×【効果】=ペイオフマトリクス
- 4-3.【影響度】×【発生確率】=リスク評価ヒートマップ
- 4-4.【市場競争力】×【成長性】=プロダクト・ポートフォリオ
- 4-5.【市場】×【商品】=アンゾフマトリクス
- 5.最後に
1.ハイ・ローマトリクスとは?
ハイ・ローマトリクスとは、複数の選択肢の優先順位を見える化するフレームワークです。2つの評価軸を設定し、それぞれの高い(ハイ)・低い(ロー)を相対的に評価し、優先順位を決める方法です。
2つの軸に対して選択肢のそれぞれが、相対的にどのような位置関係にあるかを配置していきます。それぞれの評価軸の高・低をかけあわせた4つのカテゴリに分類することができます。上のイメージで示されるように、2軸とも「高」の○カテゴリ、いずれか一方が「高」でもう一方が「低」の△カテゴり、いずれも「低」の×カテゴリの全部で4つに分類できます。
ペイオフマトリクスとも言われるが…
ハイローマトリクスのことをペイオフマトリクスと呼ぶこともあります。ペイオフマトリクスは2つの評価軸を「費用」と「効果」に定めたハイローマトリクスのことです。ハイローマトリクスがフレームワークの一般的な呼び方で、その中の具体的な使い方の一つがペイオフマトリクスです。「費用」と「効果」の場合、費用は少ないことが良いことですので、「高」「低」が逆になります。
身近なペイオフマトリクスの場合、2つの△は上のように費用:低-効果:低が第2優先順位となることが多いでしょう。予算も潤沢にある場合はこの限りではありませんが、「限られた予算(場合によってはゼロコスト)の中でやれることは何か」が命題となることが多いでしょう。その場合は、上記のような優先順位になります。
2.ハイ・ローマトリクスのメリット
2-1.共有化(見える化)
複数の選択肢の位置関係を、相対的に可視化でき、共有化できます。ブレストの後に、ブレストで多くでたアイディアのどれを採用するかホワイトボードにその場で書いて優先順位付けをするなど、簡単に共有ができます。
◇【アイディア発散】集団発散法「ブレインストーミング」
ハイ・ローマトリクスは、ホワイトボードには直線を2本引けば準備完了。そこに一つずつ選択肢を置いていくだけでよいのです。
2-2.記録化
共有化と同じと思われがちですが、共有することと、記録することは異なります。
共有するだけなら、記録せずとも口頭で共有することもできます。複数の選択肢の中で、なぜその選択肢が選ばれたかを記録できるのです。評価された選択肢が何で、評価軸が何で、どの順番で優先順位がつけられ選定されたか可視的に記録できる機能を持っています。
3.ハイ・ローマトリクスの使い方
3-1.使う場面
ブレーンストーミングなどでアイディア(選択肢)が多く列挙された際、優先順位をつけることに使います。ブレストで挙げられるような10・20というような大量の選択肢でなくとも、3~5つ程度の企画の採用検討の場面でも使用できます。
3-2.選択肢の2軸を表で評価
この工程は割愛してもよいですが、マトリクス(2軸の座標)に選択肢を配置する前に、各評価軸ごとに相対的に評価をします。事前に定量的に評価をすればあとの作業は記載するだけ。
それぞれの評価軸を2段階(高・低)もしくは4段階(1・2・3・4)で評価すると、わかりやすく4象限に仕分けることができます。これを3段階(1・2・3)もしくは5段階(1・2・3・4・5)で評価してしまうと、真ん中の評価が存在し仕分けしきれず、優先順位を付けづらくなる場合があるでしょう。
3-3.2軸の優先順位をつけておく
冒頭の4象限の分類で示すところの△のように、一方が「高(GOOD)」で、一方が「低(BAD)」のカテゴリが2つあります。予め、この2つの△の優先順位をつけておくと、△に多くの選択肢が配置された場合に、その後の評価がスムーズになります。
3-4.マトリクスに配置する
3-3で定量評価した内容をもとに、マトリクスに配置します。
3-5.1つの象限に集中したらさらにマトリクス
ひとつの象限に多くの選択肢が集中した場合は、その象限を全体としたマトリクスを描くとよいです。
4.ハイ・ローマトリクスの事例パターン
ハイ・ローマトリクスは軸の組み合わせによってさまざまな評価ができます。
4-1.【重要度】×【緊急度】=アイゼンハワーマトリクス
アメリカ合衆国の元大統領アイゼンハワーが提唱しているタイムマネジメントです。重要度と緊急度を組み合わせた、仕事の優先順位を評価するマトリクスです。今日のタスクも、このマトリクスに当てはめてみましょう。
優先順位の1位と4位は簡単にわかります。他の組み合わせと同様に優先順位の1番は、重要かつ緊急なタスク。優先順位の4番(最下位)は、重要ではなくかつ緊急でないタスクです(もはやそんなタスクはやらなくていいですね)。
ここで悩むのは「重要だが緊急でないタスク」と「緊急だが重要でないタスク」の優先順位。アイゼンハワーはこの優先順位を、以下のようにしています。
「重要だが緊急でないもの」の方が優先順位を高くするように示されています。毎日の仕事は「緊急だが重要ではないタスク」の積み重ねではないでしょうか。でもそればかりやっていると、「重要であるが緊急ではないタスク」に手を付けられずに日々過ごし、時間だけが経過していしまうとアイゼンハワーは言っています。わかっちゃいるけど、それができたら困らないですよね。
そこで、アイゼンハワーマトリクスの優先順位でタスクをこなせるようになるひとつのコツを紹介。手を動かす順番と、頭を動かす順番を別にしてみることです。手を動かすのは「緊急で、重要でないもの」から。それとは別に、通勤時間中など手を動かせないけど頭を動かせるときには「重要であるが緊急でないもの」に取り組んでみましょう。「重要だけど、緊急でないもの」は手を動かさなくてもやれるものが多いものです。
大統領の仕事は私たちの想像をはるかに超えた多忙な世界なのでしょう。このタイムマネジメントができるようになれば、大統領になれるかも!?
4-2.【費用】×【効果】=ペイオフマトリクス
ハイ・ローマトリクスがペイオフマトリクスと呼ばれる理由がこれ。複数のアイディア(企画)を評価する多くの場合、費用と効果の2つの軸を扱うためペイオフマトリクスという呼ばれたりもします。イメージは冒頭で紹介していますので、ここでは割愛。
4-3.【影響度】×【発生確率】=リスク評価ヒートマップ
影響度と頻度を組み合わせると、リスクマネジメントで用いられる「リスク評価ヒートマップ」になります。CSAにおけるリスク評価の方法として使われることがあります。CSAに関してはまたの機会に。
4-4.【市場競争力】×【成長性】=プロダクト・ポートフォリオ
ボストンコンサルグループが提示している、マーケティング市場戦略の考え方の一つです。詳細はここでは省略…
4-5.【市場】×【商品】=アンゾフマトリクス
経営戦略なかでも成長戦略の考え方のひとつとして1950年代に戦略家アンゾフが提唱したマトリクスです。「市場」と「商品」を2軸に置き、それぞれ「新規」と「既存」を掛け合わた4象限で考えるものです。ハイローマトリクスのような高・低での評価ではありませんが、新規と既存という反する視点で並べたものです。
5.最後に
フレームワークは考え方の型なので、これでなければいけないという絶対のルールはありません。他者の理解を得られる範囲で、使用するコミュニティの文化や参加者の知識レベルを見定めながら工夫してOK。どうやって使ったらよいかわかならないと手が止まることが一番のNG。
フレームワークに失敗はありません。キレイな形にまとまらなくても、"とりま"やってみる!ってことで。脳が刺激され、ふとした瞬間によい答えが見つかるかもしれませんね。