「早く帰れ!」の声かけだけは、何も生み出しません。むしろ、部下のモチベーショーンを低下させるマイナス効果でしかありません。そんなジタハラ(時短ハラスメント)上司にならないために、今日からやれる働き方改革の"声かけ"を紹介します。(これ、私の上司が見たらhhh・・;よしっ、関係ない!大丈夫、悪いことは言っていない。さぁどんとこい!!)
【特集】「働き方改革」を独り歩きさせない!「働き方改革」の実現に向けて
目次
1.「働き方改革」は風土作りから
働き方改革というと、生産性向上の教育とかRPA(ロボティクス プロセス オートメーション)などの仕組みが必要とか言われていますが、経済的にも体力的にも余裕がないと始められないですよね。そこで、"教育"も"仕組み"もいらない「働き方改革」の最初の一歩としてやれるのが、風土作りです。
風土作りって、そんな社内の風通しや文化を変えるなんて一人ではムリ…といわれるかもしれませんが、やることはジタハラ上司がやっている"声かけ"だけででよいのです。これまでは「早く帰れ~!」という掛け声でしたが、その掛け声をちょっと工夫するだけでいいのです。
声かけは想定している以上に風土作りの効果があります。特定の部下への掛け声だったとしても、それを聞いている周囲へも影響は派生します。「早く帰れ~!」というマイナス効果となる掛け声も周囲へ影響しますが、逆にプラス効果の掛け声も影響します。多少、周囲に聞こえさせることを含めてプラス効果の掛け声を考えてみましょう。
2.部下への声かけポイント
忙しかったり、業務範囲が広がっていくと、部下の作業レベルまで目が行き届かないもの。"明日までに"なんてお願いした仕事を忘れてしまうことだって、ゼロではありませんよね。ですが、絶対にしてはいけない声かけが「なんで帰れないの?」です。
早く帰れずに仕事をしているのは、上司であるあなたが出した業務をやっているのです。業務量の調整は上司の仕事。そのあたながこの確認をするのは実効性のない「早く帰れ!」と言っているのと同じか、場合よってはそれ以上にマイナス効果となる可能性があります。
また、「大丈夫?」とか「どう?」など、具体的なアクションにつながらない声かけもムダです。意味はありません。次のアクションにつながる、つまり現状の課題の把握ができる具体的な声かけができればよいのです。
2-1.部下の気持ちになってみる
これ、基本です!帰れずに仕事をしている部下の目線になっていれば「早く帰れ」とか、「なんで帰れないの?」なんて声かけには絶対ならないはず。でも、そんな声かけになってしまのは、部下の気持ちを忘れてしまったのでしょう。
部下自身の気持ちを理解できないのであれば、自分が上司から言われたシーンを想像してみてください。あなたにも上司はいるはず。社長以外の従業員はみな上司がいます。いま、あなたが声かけしようとしているそのフレーズを、あなたが言われたらどう思うでしょうか?「明日までに資料を作っておいて」と言われている中、「なんで帰れないの?」なんて言われた場合には、「この人わかってないな・・・」って思いませんか?
部下の気持ちになってみるのが難しい場合は、あなたがあなたの上司から言われたシーンを創造してみるのがよいでしょう。
2-2.「加点方式」で効果は2倍
減点方式ではなく、加点方式にしてみてください。できない理由や、帰れない理由を確認するのが減点方式。加点方式は、できているところまでを確認し、あと何ができれば終わるか(帰れるか)を確認するのです。
仕事のゴールを100とした場合に、100を示すことは上司としては大切です。示すことは必要ですが、100に到達できない理由を問いただすのは相手を追い込むことになります。0からどこまで到達できてるかを確認すれば、部下が考える100までの残タスクを浮き彫りにすることができるでしょう。
加点方式も減点方式も、仕事の現在地点がどこかを確認しているという意味では全く同じなのですが、相手に与える印象はプラスとマイナスと180°異なります。加点方式で与えられるプラスの効果が失われるだけでなく、減点方式で与えてしまうマイナス効果も追加されるのです。例えば、加点方式で相手に与える効果が+10ポイント、減点方式で相手に与える効果が-10ポイントとすると、加点方式と減点方式での結果の違いは20ポイントとなるのです。
2-3.”声かけ”が思いつかない時は5W3H
5W3Hってほんと便利。企画書を起こすときや、データ分析の視点を考えるときにも使えますが、声かけの時にもつかえます。とはいっても、これは単に、進捗を遮っている課題解決の方法を考える"思考のフレームワーク"として利用するってこと。コミュニケーションにも使えるフレームワークというのではなく、思考のフレームワークがここでも使えるってだけのことなのです。
◇企画書もデータ分析も!万能フレームワーク5W1Hの進化版「5W3H」
3.部下への声かけ事例
5H3Wをベースに、加点方式での声かけを紹介します。
WHY(理由・目的)
・どこまでをゴールにしているか?
これ、結構ムダな時間を過ごしていることがあります。上司と部下で、求めているゴールのレベルが違うのです。上司は80点でよいと思っていても、部下は100点を目指して20点分のムダな時間を費やしているのです。作業が一定程度すすんだ時点で、具体的なゴールのすり合わせをすることはとても効果があります。
目的がズレていても、それは相手に伝わってない自分にも責任があります。理解できないことを問いただすのではなく、理解できるように説明方法を変えてみればよいのです。
WHAT(物事)
・何ができた?あと何をやる予定か?
なんで残っているんだ?はジタハラといわれてしまうことはありますが、"どこまでやれたか?"は加点方式として悪い印象はありません。これまでで"何ができたか"を確認した上で、"残りが何か"を確認しましょう。
部下は現状60点と思っていても、上司としては80点の場合もあります。どこまでできているかを確認する際には、0を基準としてできているところを評価した上で、残りの点数の取り方を確認するようにしましょう。
残りのタスク確認としてはWHYとほぼ同様です。あえて表現を変えるとすれば、ゴールレベルを確認するのがWHYであり、タスクを確認するのがWHATというイメージでしょう。
WHERE(場所)
(今回のケースでは、この視点は特になさそうですね。よいアイディアがあれば、教えてくださいm(_ _)m)
WHEN(時間)
・何に時間がかかりそう?
「なんで時間かかっている?」はNGワードですね。これは、想定している所要時間で仕事が終わっていない=仕事が遅いと評価された、という印象になります。進捗の確認のつもりが、仕事が遅いと評価されたと伝わってしまいます。
が、仕事が遅い部下も確かにいます。が、そこはグッとこらえましょう・・;これまでかかった時間についての評価はいったんおいといて、これからの時間について確認する中で、これまでの時間のかけ方を確認すると印象は緩和されるものです。
WHO(人)
・"誰か"困っている?"誰か"動かせす必要があるか?
組織で働くと、人の使い方や折衝で仕事が滞ることは日常的に発生します。ヒトという資源の課題や活用方法を示唆することもポイントの一つとなります。
HOW(手段)
・"やり方"はわかるか?"やり方"が分からないところがあるか?
「どんな"やり方"をしているか?」はNGになる可能性があります。これも「なんで時間がかかっているの?」と同じように、"やり方を変えろ"と言われた=いまのやり方は遅い、と受け取られる可能性があります。これも仕事が遅いと評価されたと伝わる可能性があります。
一方で本当に仕事が遅い場合もあります。「やり方が分かるか」と確認しながら、質問を重ねる中でやり方を確認していくこともよいでしょう。
HOW MANY(種類・量)
WHATと同様ですが、タスク(作業)の種類や量を確認しましょう。
HOW MUCY(金額)
費用や効果に関して悩んでいる、困っていることが無いかを確認します。ビジネスにはお金が必要な場合が多くあります。三大資源の一つであるカネを工面するのは、上司であるあなたの力の見せどころです。
4.最後に
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。ジタハラ上司には、部下はこんな声かけしてもらえたらよいのになと、思っています。ジタハラ上司でなくても、こんなコメントされたらモチベーションは簡単に上がることでしょう。
自分が部下だった時に「こんな上司になりたくないな」って思っていたことも、上司になって仕事に忙殺されてしまうと意外と忘れてしまうのですよね。私は現在37歳の中間管理職ど真ん中。部下もいますが上司もいますし、私自身もかなりの業務量を抱えています。勤務先は日本企業ですので、日本の人口ピラミッドに比例して上司も多く、部下はいますが部下側の人間としてのメッセージを発信してみました。
いまからでも遅くありません!"ジタハラ上司などと言われないように"という後ろ向きなものではなくとも、また仮に「働き方改革」なんて旗が下されたとしても「生産性向上」は企業や組織には価値ある取り組みです。本質的な「働き方改革」の実現に向けて、"早く帰れ"なんて意味のない声かけはいますぐやめて、まずは部下の仕事を加点方式で確認することからはじめ、「働き方改革」の風土作りを率先しましょう。
P.S.
そもそも、働き方改革は国が主導している取組とうことは知っていますか?知っていても、なぜ国が主導しているかまでは知らない人が多いのが現状。
◇「働き方改革」を国が進めている理由は?キーワードは"一億総活躍社会"