先日、部下の愚痴を聞いていたところ、"愚痴ってすいません"っていわれ。ふと思ったのは『みな愚痴ってこぼしたらいけない』って思ってるのでは?と。今回のビズ技は愚痴に関するコラムです。私も昔は、男気を勘違いして愚痴を貯めて、メンタルやられたことを思い出しました(汗。←なんだそのちっちゃい男気www
「理想」と「現実」のギャップが愚痴を生む
愚痴が発生する原理は簡単です。人は、自分が思い描いている「理想」と、目の前で起きている「現実」のギャップにストレスを感じ、そのストレスの解消法として愚痴をこぼすのです。
「理想」と「現実」のギャップ自体に愚痴をこぼすのではなく、そのギャップに感じるストレス解消として愚痴をこぼすので、愚痴をガマンするとストレスが蓄積され、場合によっては自分自身をコントロールできなくなってしまうこともあります。
愚痴をこぼさないのはストレスになる
今でこそ、社内研修を自ら立ち上げ、勝手に人事部みたいなことをしている私ですが、一時とても苦しい時代がありました。
約10年前、メーカーの技術職から金融機関の事務職に転職をしました。転職して配属された上司は、社内でも有名なパワハラ上司。私は学生時代には体育会系の部活を、超理不尽な顧問(いまなら、Yahoo!ニュースに載ってるだろうなってレベル)のもとでやってきたので、ストレス耐性には絶対の自信があったので立ち向かっていました。特に、転職直後で、周辺人物の人間関係もつかめていない中でしたので、社内では絶対に愚痴をこぼさないようにとしていました。が、半年くらいしたところで、精神的にやられてしまいました。
精神的にやられていた一番のピーク時の症状としては、"会社の入口に来たところまでは記憶があるのですが、会社に入ったところから退勤するまで記憶が全くない"状態でした。もちろんそんな状態で仕事なんてまともにできず。
振り返ってみると、「愚痴をこぼさない」ことがストレスを貯め込むことになっていたのです。愚痴は何も生み出さないと思っていましたが、愚痴を貯めても何も生み出しません。だとすれば出てくる愚痴はしっかりとこぼすしてしまいましょう。
愚痴はこぼしっぱなしもストレスになる
前述の通り、愚痴は理想と現実のギャップからくるストレスを解消する行為。愚痴をこぼしたことでストレス解消されますが、そのギャップが継続されている間は、同じストレスを感じ、同じ愚痴をこぼすことになります。愚痴をこぼすとはストレス解消にもなりますが、同じ愚痴をこぼすことが続くと、今度はそれがストレスとなってしまいます。つまり一度こぼした後は、次にこぼれないように手だてをすることが重要です。
我が家に3歳の子どもがいるのですが、"ジュースをこぼしたら拭きましょうね。どうしたらこぼれなかったかな?"と一緒に考えるようにしています。それと同じで、心のコップが一杯になったら愚痴をこぼしていいし、愚痴がこぼれてしまったら拭けばいいのです。そして、もうこぼさなくていいようにするにはどうするかを考えればよいのです。
愚痴には2種類ある
私の顔に「悩み相談室」と書いてあるのか、いまでは部下や同僚、さらには先輩まで、いろんな人の愚痴を聞くことがあります。さまざまな立場の人の愚痴を聞くことがありますが、愚痴は大きくわけて自分で解決できる愚痴と、自分で解決できない愚痴の2種類に分けられます。
自分で解決できるものであれば、解決方法を考え、行動を起こしましょう。逆に、自分で解決できないものは…を考える前に、正しい愚痴のこぼし方を考えてみましょう。
愚痴の本質を突き止める
みなさんは正しく愚痴をこぼせていますか?愚痴と要望が混在していませんか?
上司に悩んでいる人がよくいう「上司を代えてほしい」というのは愚痴でしょうか?要望でしょうか?・・・そう、これは要望です。例えば、「上司と仕事の仕方が合わない」というのが愚痴であり、「代えてほしい」は要望です。
「上司を代えてほしい」という要望は、組織の都合上対応できないことが大半でしょう。しかし、「仕事の仕方が合わない」というのであれば、そのギャップを小さくしてしまえばいいのです。
こぼしている愚痴の原因が何かを突き止めてみると、自分で解決できる部分が少しはあるもの。こぼした愚痴を箇条書きにでもして、なぜなぜ分析(5階層程度までなぜをつきとめるリスクマネジメントのやり方)をしてみましょう。そうすると、自分で解決できるものがゼロではないはず。その小さな一つひとつを解決することで、理想と現実のギャップをいまよりも小さくすることができるでしょう。
上司の愚痴はたいてい解決できる
愚痴の本質を突き止めてみると、思っている以上に自分で解決できる部分があります。特に、上司に対する愚痴はたいていの場合、自分で解決できます。
上司と合わないと思っている人に知ってもらいたいのが、これ「ボスマネジメント」です。私もボスマネジメントに出会ってからは、価値観の違う上司であっても、自分との違いを理解しながら、ストレスを最小限にしてやっています。
◇上司が合わない…転職前に上司使いこなし術「ボスマネジメント」
最後に
愚痴はためるものではなく、こぼすものです。こぼしても、その後にこぼしっぱなしにしなければ、愚痴も十分に価値があります。一見、自分が解決できなさそうな内容でも、本当の原因を追究することで、自分では何もできないと思ってこぼしていた愚痴も、明日にはやっつけられてしまいかもしれません。
愚痴は人を動かすエネルギー!明日の自分のためにその愚痴をエネルギーに変えてましょう。