「上司と合わない、辞めたい・・・」、「上司が仕事をしない」、「理想の上司像と違う」。会社で働いていると、上司に対する不満はつきものです。私も上司に悩み、辞めようとしていましたが、この"ボスマネジメント"の考え方に出会って変わりました!今の私の上司はその時の上司ですが、今は自分らしさを持ちながら働いています!!
今の職場を辞めないでほしいとはいいません。転職したとしても、組織で働く限り、社長にならない限り、上司は必ず存在します。上司と合わずに生産性の上がらない日々を過ごしているあなたに知ってほしい"ボスマネジメント"。この記事を読んだ明日の出社は(お昼休みに見てくれてたら午後からですね^^)、今より前を向いていることでしょう。
目次
1.上司使いこなし術「ボスマネジメント」
ボスマネジメントとは、上司(ボス)をマネジメントするという考え方。マネジメントというと一般的には、上司が部下を使いこなす行為をイメージすると思いますが、ボスマネジメントはその逆で部下が上司を使いこなすというものです。
日本ではまだそれほど浸透していませんが、MBA(経営学修士)の科目に取り上げられたり、外資系コンサル企業では教育カリキュラムに導入されていたりと、経営マネジメントには欠かせないビジネススキルなのです。
ボスマネジメントの必要性と心得をまとめた論文が、1980年にマッキンゼー賞を受賞されています。この論文の冒頭では、経営者レベルでもボスマネジメントが必要であることを実例を用いて呈しています。この論文については、また別の機会に紹介したいと思います。
1-1.上司がいない人はいない
最近は、少子高齢化社会を背景に、おおよその組織は年代構成が逆ピラミッド型になっており、部下がいないケースも少なくありません(部下のいない管理職は、何を管理しているのでしょうね)。
一方で、唯一の例外※を除いて、組織の中で上司がいない人は存在しません。つまり、マネジメントを必要としない人は多くいますが、ボスマネジメントを必要としない人はいないということです。
※ 唯一の例外は、そう、社長です。とはいえ、冒頭に紹介した論文では経営層にもボスマネジメントは必要とありますので、組織で働く人はすべてボスマネジメントが必要ということですね。
1-2.上司も自分も未完成
部下であるあなたが未完成なように、上司も未完成なのです。上司が社長であっても人の成長に終わりはありません。
例のごとく自己啓発本を散策(私の生態はこちらを参照)しに本屋のビジネスコーナーを見てみると、並んでいるのは「上司になったら読みたいマネジメント」、「最大限に部下を働かせるコーチング」というようなタイトルのマネジメントの本ばかり。つまり、世の中の上司の大半は発展途上なのです(だたそれを自覚してくれたらいいのですがね)。完璧な上司というのは存在しないのです。
自分の役職が上がって上司になったこと考えてみてください。役職が上がったところで、昨日までやったこともなかったマネジメントが、急に今日からできるようになる事はないですよね。自分が上司になったらこうしたいと考えていても、それが正しいかどうか、万人ウケするかどうかはわからないですよね。あなたの上司も同じなのです。
個人事業主であれば自分で全てをやりきらないとなりませんが、組織は一人で達成できない仕事を複数の人財で相互に補いあうことで、シナジーを発揮し大きな成果にすることができるのです。
1-3.どんな上司にも通用するボスマネ
この記事を読んでいる方の中には、合わない上司が理由で転職/退職を考えている人もいるかもしれません。
ある転職サイトの調査では、退職理由の1位と3位が上司や先輩に対する不満となっていました。多くの人が上司や先輩に対して強いストレスを感じているようです。(ちなみに2位は労働時間に関する不満でした。)
(パワハラ、セクハラなどのハラスメントで困っている場合を除き)上司が合わないという理由で転職/退職しても、一時的には解決しますが、その環境は未来永劫続くとも限りません。転職先でもプロジェクトや年度が変わると、上司も変わり、再度合わない上司に仕えることもあるでしょう。合わない上司に仕える度に転職しますか?
1-4.上司も会社のリソース
先日、会社で支給されているノートパソコンが全面入れ替えとなりました。入れ替えられたノートパソコンは機種も異なるためキータッチの感覚は大きく違っていました。周囲は新しいノートパソコンへの不満を口々に言っていましたが、その不満を理由に転職した人はいませんでした。
極端な例かもしれませんが、上司もパソコンと同じ会社のリソース(資源)のひとつなのです。個人事業主であれば、資金調達したり人員入れ替えをによりリソースの確保もできますが、組織では限られたリソースの中で成果を最大限にするというミッションがあります。
パソコンに対して合う/合わないと一度は評価しつつも、どのように使いこなすかを考えたように、上司に対しても合う/合わないを評価した後は、どのように使いこなすかを考えてみましょう。
2.変えるのは"人"ではなく、"関係の在り方"
では、ボスマネジメントとは具体的に何をすればよいのでしょうか。自分も含め人の価値観を変えることは、難しいことことです。ましてや、あわない上司のために自分の価値観を変えるようなことは絶対にしたくないですよね。
ボスマネジメトでは上司や自分自身の価値観を変えるのではなく、上司との自分の関係の在り方を変えることを呈しています。
2-1."価値観"は変えず、"関係"を変える
関係の在り方を変えるといのは具体的どういうことかというと、相互期待を実現する関係になると言われています。
あなたは、上司があなたに何を求めているかを知ることであり、それを実現すること。上司は、あたなが何を求めているかを知ることであり、それを実現することです。
相互に何を求めているかを知ることは、実は難しくないのです。お互いに何を求めているかを聞いてしまえばいいのです。上司と合わないと悩んでいる人の中でも、この会話ができる人は半分程度いると思います。
残りの半分の方は、この会話もできない関係であり悩んでいることでしょう。そんな関係であれば、この記事にたどりつくことはないですね。では、相手が何を求めているかを間接的に知るにはどのようにすればよいでしょうか。答えは一つ。自分と上司の違いを具体的に理解することです。
2-2.上司と自分の違いを具体的に理解する
ただ漠然と性格が違う、経験が違うと片づけるのではなく、もっと具体的に知ることです。上司と自分の違いを理解するにはポイントがあります。
ポイントを語る前に少し脱線しますと。職場で合わないと感じるものは、実は性格や好みではなく、ほぼ全てが仕事の進め方なのです。食事の好みが違うからとか、服のセンスが違うから仕事がすすまないということはありません。上司と合わないという記憶は感情として記憶されてしまっているために、合わない理由も感情的なものと誤解したまま記憶されてしまっているのです。
話を戻し、自分と上司のそれぞれにおいて次に挙げるような仕事の進め方を確認することでおのずと違いを理解することができます。
- 強みと弱み ・・・★
- ストレスポイント ・・・★
- 上司から(上司はそのまた上司からの)求められているものとそのプレッシャー
- 仕事量と優先順位
★に関しては「エニアグラム」という性格診断のツールが効果的です。エニアグラムについては、また別の機会に紹介したいと思います。。
強みと弱みを知ることは「相互期待」の関係構築の最大要因となります。強みを生かして活躍することは満足感を得ます。また、弱み吸収してもらった時には感謝の意が芽生えます。逆に弱みを突かれるとストレスを感じ、場合によっては反撃行為につながりかねません。強みと弱みを知ることでお互いを補い合うことができ、期待に応える(相互期待を実現する)ことができるのです。
ストレスポイントについて確認してみましょう。ストレスポイントも実は人によって大きく異なります。参考に私の場合を紹介しますので、ご自身と比べてみてください。
私がストレスを感じるのは、
- 指示が事細かく、裁量や自由度がない仕事を依頼された時
- 定例作業をしている時
逆に、私がストレスを感じない(むしろやりがいを感じる)のは、
- 丸投げ仕事を依頼された時
- 企画(0を1にする仕事)仕事をしている時
- 初めての仕事をしている時
です。いかがでしょうか。「まぢ?」と思った方もいるのではないでしょうか。(記事用のネタではありません、本当の話です。)
また、あなたが上司からの求められるものやプレッシャーがあるように、上司はそのまた上司から求められプレッシャーがあります。状況によって仕事量や優先順位も変動していることを理解することは、相互期待の関係構築を進めます。
2-3.ボス・マネジメントのチェックリスト
相互期待の関係を構築するために、自分と上司の違いを具体的に知るということが、関係の在り方を変えることにつながるのがお分かりいただけたと思います。ここでは、違いを理解する上でのポイントをいくつかまとめますので、知る上での参考にしてみてください。
2-3-1.上司を知る
- 上司の目標や目的
- 上司の(上司からの)プレッシャー
- 上司の強みや弱み
- 上司のワークスタイル
2-3-2.自分を理解する
- 自分の強みや弱み
- 自分のワークスタイル
- 自分の上司に対する依存傾向
- ストレスポイント
- やりがいを感じる仕事
2-3-3.関係を構築・維持する
- お互いのワークスタイルを尊重しあう
- お互いに期待し合う
- 上司に絶えず情報提供する
- 信頼と誠実さに支えられている
- 上司の資源(時間、人)を使い分ける
3.まとめ
いかがでしょうか。上司との良好な関係を築くボスマネジメントについて紹介しました。合わない上司との関係改善はもちろん、上司・部下と良好な関係である場合であってもさらに生産性向上が望めると思います。また、ボスは社内だけとは限りません。人によってはボス=顧客というケースにおいても十分に効果を発揮します。
これまでに述べてきたことをまとめまておきます。
- 上司には使われるのではなく使いこなす。
- 上司がいない人はいない。ボスマネジメントはいつか必ず必要になる。
- 上司も自分も完璧ではない。相互補完できるのが組織の価値。
- 会社のリソースとして上司を使いこなす。
- 人を変えるのではなく、関係の在り方を変える。
- 関係の在り方を変えるため、自分を知る。上司を知る。上司の上司を知る。
- 自分の強み、弱みを知るための効果的なツール「エニアグラム」
- 上司と合わずにストレスになっているのは、(意外と)好みや価値観ではなく、関わり方。
4.最後に
上司や自分を理解するには、それなりに時間がかかります。今日からできること何かないかなというあなたに、最後に上司を知るはじめの一歩。
あなたの上司は、「聞く派」、「読む派」のどちらですか?
報告を受ける際、口頭での報告を求め、質問を繰り返しながら理解を深める上司もいます。逆に、メールや文書での報告を求め、文書での理解を深めながら次の指示も文書でまとめる上司もいます。自分の中では当然と思っていたコミュニケーションも、上司の求めているスタイルか、自分だけの好みのスタイルではないか確認してみてください。意外とこんな小さなところからでも関係改善は見込めるものです。。
あなたと上司がより良好な関係となり、組織としての生産性が高まってくれたら「いいねっ!」。